「ヒト幹細胞培養液」。
昨今、美容業界にて注目されているこの培養液は、エイジングケアの先進的役割を担うと期待され、各所で重宝されるようになってきています。
他方、言葉だけはよく耳や目にし、漠然と「美容に良い!」といった印象を持たれている方も少なくないでしょう。
話題性や人気の高さがうかがえる一方で、詳しくはご存じないという方も多いように思います。
そういうわけで、もっと身近に感じていただけるよう、本記事にてフォーカス。
原液や成分、安全性などに言及していくなかで、ヒト幹細胞培養液を用いた頭髪マッサージへの興味・関心も、より強く持ってもらえれば幸いです。
目次
- ○ ヒト幹細胞培養液って何?と思われる方へ
- ○ ヒト幹細胞培養エキスの原液について
- ○ ヒト幹細胞培養液に含まれる成分
- ○ ヒト幹細胞培養液の安全性
- ○ ヒト幹細胞培養液が頭皮にもたらす恩恵
- ○ ヒト幹細胞培養液のこれから
ヒト幹細胞培養液って何?と思われる方へ
そもそも「幹細胞とは何か?」というところからご説明します。
生物の個体には、それぞれ多くの細胞が存在します。
そのなかで、皮膚や血液のように一つひとつ絶えず入れ替わり続け、「失われては生み出して」を繰り返すことのできる細胞があります。
これを実現するには、自己複製能と呼ばれる分裂と再生を経て自ら増殖を行う能力と、さまざまな細胞へ変化する能力(分化能)の二つが不可欠です。
そして、これら両方の働きを兼ね備えているものこそが幹細胞に当たります。
病気やケガといった類に限らず、コスメ系で販売されている製品に幹細胞の培養液が配合されているのは、まさしく再生医療の考え方に沿っていると言えるでしょう。
以下、主に化粧品などで使用される幹細胞の種類についてご紹介します。
◆動物幹細胞
羊の毛根や胎盤から採取された幹細胞です。人間のそれに近いと考えられていますが、アレルギーをはじめとした安全性の問題や、動物の飼育や原料の抽出が衛生的か否かで慎重に判断しなければなりません。そのためか、日本ではあまり流通していないようです。
ちなみに、胎盤のエキスをギュッと閉じ込めた栄養補助食品であるプラセンタサプリなどは、この動物由来タイプが多い傾向にあります。
◆植物幹細胞
特定の植物の細胞を利用することで、傷ついた細胞を再生させる力を持ちます。俗に例として挙げられる奇跡のリンゴこと「ウトビラー・スパトラウバー」などは、高い抗酸化力・保湿力からハリの改善が期待されるとあって人気です。
◆ヒト幹細胞
そしてヒト由来。一般的に、ヒトの皮下脂肪やへその緒の臍帯血(さいたいけつ)を原料とします。
コスメに使用されるのは、そこから採取した幹細胞を培養させた液です。
他のタイプよりも、細胞活性能力が高く、もっとも人間の肌になじむものとして位置づけられています。冒頭でも触れましたが、エイジングケアの最前線に立つ、次世代を支える要素といっても過言ではありません。
ヒト幹細胞培養エキスの原液について
ヒト幹細胞が培養液として抽出されたとき、それはわたしたちの健康や美容を豊かにしてくれるものへと変わります。これは前章で述べた通りです。
そのうえで、いくつか気になる点もあると思います。
たとえば、ここ数年話題を集めるようになった原液美容液。
果たして、ヒト幹細胞培養液においてはどのような効果を生むのでしょうか。
すでに巷で製品化されていますが、あらかじめ知識を持たないまま安易に手を出すことは、少なからずはばかられる方もいらっしゃるはずです。
そこで留意しておきたいのが原液の定義や考え方。
以下、簡潔にご説明します。
◆原液の定義
基本的には、「加工や薄めることをしないもとの液」つまりは成分自体が希釈されていない状態を指します。しかし、実際のところ、曖昧な許容範囲にて、ある程度は調整を図っているケースもないわけではありません。そのため、「もとの成分濃度が高い液」と定義づけるのが実質妥当でしょう。◆原液に対する考え方
ヒト幹細胞培養液を原液で直接注入した場合、極めて純度が高い分、少量でもダイレクトに効果を得られる可能性が高まります。もちろん、個人によって影響度は異なるため、必ずしも改善につながるわけではありません。が、文字通り「肌に合う、合わない」を判断しやすくなります。この見極めが容易となる点もまた、原液のメリットとして捉えることができるでしょう。ヒト幹細胞培養液に含まれる成分
ヒト幹細胞培養液には、先述したヒト幹細胞から分泌されたコラーゲンやヒアルロン酸など皮膚組織に欠かせないタンパク質に加え、グロースファクター(成長促進因子)やサイトカインといった生理活性物質が豊富に含まれています。
とりわけ注目したいのがグロースファクターの有用性です。細胞が新しく生まれ変わる一連の流れを促す作用を持つため、健康や美容にとって好影響を与えてくれます。
いわゆる(肌や皮膚が新しく生まれ変わる)ターンオーバーのサイクルを短くするには欠かせない要素です。
具体的には、表皮幹細胞や真皮幹細胞に働きかけて細胞の複製や分化を促進します。そうやって生まれた新たな表皮細胞や線維芽細胞によって、ターンオーバーは加速。上述したコラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンといった美容成分が増えていきます。
これは、肌や皮膚が健康的な状態を維持しやすくなることを意味すると言ってもいいでしょう。老化によるシワやシミ、ほうれい線、加えて、毛穴の黒ずみや開き、くすみにたるみ、ニキビ……。こうしたさまざまなお悩み・トラブルは年齢とともにどうしても避けられない部分はあります。けれども、グロースファクターが躍動することによって、緩和へと導いてくれるわけです。
「ヒト幹細胞培養液」のポテンシャルの高さを象徴していると言ってもいいですね。
なお、この成長因子は代表的なものだけでも、以下のように多数挙げられます。
・EGF(表皮細胞成長因子)
・aFGF(維芽細胞成長因子)
・bFGF(塩基性線維芽細胞因子)
・KGF(毛母細胞成長因子)
・VEGF(血管内皮細胞成長因子)
・TGF-β(トランスフォーミング成長因子)
・IGF-I(インスリン様成長因子)
・PDGF(血小板由来成長因子)
・HGF(肝細胞増殖因子)
それぞれ細胞再生のサポートや、美容成分の産生を促す働きを持っています。
発毛・増毛促進、抗老化、組織再生、抗酸化……等々、期待できる効果は実に多いです。
ヒト幹細胞培養液の安全性
ヒト幹細胞培養液に関して懸念する声の一つに、安全面が挙げられることがあります。
誤解されていることで多いのが、他人の細胞を肌や皮膚に注入・導入するいわば“細胞移植”を行うイメージです。
確かに、ヒト幹細胞はヒトの皮下脂肪やへその緒の臍帯血(さいたいけつ)を原料としています。しかし、ここで注意が必要です。
あくまで注入・導入するのは培養液になります。
幹細胞を培養したときに分泌された成分に他人の細胞が含まれることはありません。
厚生労働省が定めた基準(※)に従い、幹細胞を完全に取り除いた培養液が取り扱われます。
精製過程においても検査は徹底され、厳しい基準をクリアしたものだけが世の中に出回っていると考えてもらって大丈夫です。
無菌室での培養がそうであるように、最大限のリスクヘッジは当然行われています。
加えて、ヒト幹細胞培養液は、動物幹細胞培養液や植物幹細胞培養液に比べても、高度かつ最新の技術を施すがゆえ、慎重な配慮と厳重管理のもと安全性は高いと言えるでしょう。
副作用や拒絶反応においても同様。決して体内に異物が侵入するような“細胞移植”ではないため、過剰に心配する必要はないと考えます。
※
厚生労働省の生物由来原料基準を守る法律を参照。
「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の第2条「生物由来原料、生物由来製品」の規定に基づく。
幹細胞培養液は、エイズや肝炎を含むウィルス・細菌に感染していない健康な成人女性ドナーの皮下脂肪を採取し、その中から取り出した幹細胞を培養して抽出することが定められています。
また、培養自体も、GMP(薬事法に基づいて厚生労働大臣が定めた医薬品等の品質管理基準)に準拠したクリーンルーム(クリーンベンチの無菌状態下)で行わなければならないことから、管理体制も徹底されています。
加えて、繰り返しウィルス・殺菌感染のスクリーニングテストを実行したうえで、全数無菌検査をクリアした製品のみが出荷されるフローです。
ヒト幹細胞培養液が頭皮にもたらす恩恵
さて、もちろん髪の毛に対しても、ヒト幹細胞培養液が効果的に作用してくれる期待は持てると言えるでしょう。
頭皮のベタつき、抜け毛や薄毛、ニオイ、フケ、かゆみ、ハリ、コシ、ボリューム……。
これらさまざまなお悩みを抱えるなかで策を打つも、思うように改善へとつながらないという方は大勢いらっしゃる印象です。
だからこそ、もしもまだ試していないのであれば、ぜひヒト幹細胞培養液の力に可能性を見出してみてください。
配合されている美容液やシャンプーを使って、適切に地肌をマッサージしていくことで、育毛成功への道が新たに切り開かれるはずです。
なお、成果の予兆がみられたならば、好循環をキープすべく継続して取り組んでもらうことをおすすめします。
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ヒト幹細胞培養液のこれから
従来のスキンケアが、油分水分、天然成分による表皮のバランス調整やビタミン・たんぱく質を補うものであったのに対して、(近年加速していることからも)これからは細胞を活性化させる根本への改善にアプローチするやり方が主流となるでしょう。
美肌再生治療や頭髪発毛治療に使用されるヒト幹細胞培養液は、最先端の美容医療をさらに更新させていくため、今後も重要度は増すはずです。
アンチエイジングスキンケアにおける確固たる地位を築き上げていくなかで、今もなお研究は進んでいます。
活用、再生、分化、防御といった役割がより強い組織を作っていき、順調にいけば、トラブルや症状を最大限おさえていく働きにさらなる期待を寄せることができるかもしれません。
ぜひ、これからもヒト幹細胞培養液に注目してみてください。